「Norm Air」は、外出が困難になった現代社会において、ストレスを感じている人々と表現の場を失ったアーティストたちをつなぐ場所として設計された。そのため、このホテルは単なる宿泊施設ではなく、情報過多の時代において、自然に囲まれ、何もしないことの贅沢を感じられる場所として提供されている。
このホテルの外観は、周囲の自然環境に影響を与えないよう、全体が黒で統一されている。建物の仕上げには木材は使用されず、内部と外部の明確な対比を通じて、自然の木々を借景として森林を楽しむことができる。また、河口湖の眺望を最大限に楽しむために、空中に浮かんでいる感覚を最大化する屋根付きのバルコニーが設けられている。
「Norm Air」の設計にあたっては、プロジェクトメンバーとの多くの議論を通じて、感性、ノスタルジー、ミニマリズムというデザインコンセプトを共有するに至った。新奇さや偏りではなく、人々が安心して過ごせる、子供時代の思い出を楽しむことができるノスタルジックで平和な空間を目指し、できるだけ少ない色と素材を使用した統一感のある空間を創り出すことを試みた。
自然環境を保全するための地域の法律により、建物のデザインを自然環境と調和させることは非常に困難だった。しかし、主に黒の外装を使用することで自然環境に溶け込み、ホテルは遠くからは見えにくくなった。その結果、森を歩いていると突然現代的な建物が現れ、ホテルの位置が分からないために不安を感じるという、訪問者にとっての驚きの体験が生まれた。
このホテルは、2023年のA'建築、建物、構造デザイン賞で銀賞を受賞している。この賞は、優れた技術的特性と素晴らしい芸術的技術を持つ、創造性と専門性に優れたデザインに授与される。これらのデザインは、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、ワンダーを引き立てる。
プロジェクトデザイナー: Hayato Ishii
画像クレジット: Hayato Ishii
プロジェクトチームのメンバー: Hayato Ishii
プロジェクト名: Norm Air
プロジェクトのクライアント: norm air